◆村上悦栄議員 私は、練馬区議会自由民主党を代表して、区政の諸課題について質問をさせていただきます。区長ならびに関係理事者の明快なる答弁を期待いたします。
昨年5月に終結したイラク戦争の戦後復興は、自爆テロなどが続いているものの、世界各国が参加のもとでその活動が続けられております。我が国からも人道的な復興支援の目的のもと自衛隊が派遣され、イラク国民の大いなる期待に応える諸活動を展開され始めました。今後はその成果を期待するとともに、一日も早くテロのない平和回復の中で復興の目的を達成され、全員の無事帰還を願うものであります。
一方、国政では平成13年4月に小泉内閣が誕生してから、はや3年になろうとしております。この間、官から民へ、国から地方へ、一歩ずつではありますが、着実に我が国の構造改革を進めているところであります。内外ともに大きな変化・変動が予想される中、区においても変化に即応した改革が不可欠であると、その認識のもとで平成16年度予算案が志村区長のもとでまとめられました。区民は新区長の初の当初予算であると認識しつつ、施政方針が具体的な形で示されるものとして多くの区民が大きな期待をもって待ち望んでいたものであります。
しかし、区長の所信表明によれば区税収入が前年度から更に減少するなど、区財政は引き続き厳しい状況にあり、区長の政策運営も相当制約を受けているものと存じます。そうした状況の中で、志村区長はどのような点に留意をされ16年度予算案をまとめられたのか、まずお尋ねをいたします。
◎志村豊志郎区長 はじめに、平成16年度予算案の取りまとめに当たり留意した点についてであります。
ご指摘のように厳しい財政状況下ではありますが、私は区長就任以来、一貫して「豊かさとゆとりあるまちづくり」の実現に向け、必要な取り組みを着実に実行することに最大限に意を用いてきたところであります。
その観点から、先般取りまとめた区民本位の効率的で質の高い行政を目指す区政経営の指針である「新行政改革プラン」と「中期実施計画」の推進が重要となります。
今回の予算編成では、とりわけ「新行政改革プラン」に基づき、既定経費を徹底的に見直し、委託化の拡大や民間活動への支援、収納率の向上などについて積極的な対応を図ったところであります。
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次に、区財政を取り巻く状況について伺います。
長期にわたる深刻な不況も最近になってようやく出口が見え始めてきたとの新聞報道がありました。また、政府が発表した経済見通しによれば、16年度には名目で 0.5%、実質で 1.8%の増加が見込まれるなど、前年の数値を上回る名実ともに改善傾向にあります。
去る1月の月例経済報告でも、景気の基調判断は「設備投資と輸出に支えられ、着実に回復している」として、3年ぶりに「回復」という表現が盛り込まれました。この1年間の我が国の景気は各企業の必死の努力はもとより、政府・与党の懸命な経済政策の成果もあって、着実に回復を進めてきたものと考えます。こうした景気の回復が今後も継続し、家計や地域経済に一日も早く波及していくことは国民全員の願いでもあります。更には、このような景気回復の動きは、厳しい状況が続く我が区の財政運営にも着実に明るさを与えてくれるものと大いに期待するところであります。
そこでお尋ねいたしますが、区長は今後の景気動向と景気回復が我が区の財政に与える当面の影響をどのようにお考えになっているのでしょうか、ご所見をお聞かせください。
◎志村豊志郎区長 次に、区財政を取り巻く状況についてであります。
景気動向を示す各種の景気指標が改善傾向にあることはご指摘のとおりであります。ただ、現在の景気回復が輸出と企業収益の好調に先導され、個人消費や雇用情勢は引き続き低水準にあることを考慮すれば、海外経済の動向や為替レートの動きによっては景気の回復傾向が長続きしないとの心配もあります。
本区の16年度の収入見込みでも、企業収益の改善が反映しやすい特別区財政調整交付金や地方消費税交付金が増えている一方、家計の収入状況の反映である特別区税は落ち込んでおります。私といたしましては、このように景気回復の足どりがいまだ力強いものになっていないことから、区の歳入が本格的に回復するにはいましばらく時間がかかるものと考えております。
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次に、三位一体の改革の動向と区財政への影響についてであります。
「国庫補助負担金の削減」、「地方交付税の削減」、そして「地方への税源移譲」を内容とする「三位一体の改革」は、国対地方という単なる行政内部の問題にとどまるものではありません。中央集権的国家から分権国家への移行という「日本のあり方」を問うものであります。
平成12年4月の地方分権一括法の施行以来、地方自治体は自治の範囲や内容においてその度合いを格段に高めておりますが、この歴史の大きな流れの中で更なる地方分権に向けた取り組みが求められております。国や東京都の関与を極力限られたものとし、区が自己決定、自己責任の原則に基づき、区民本位の施策を展開・実現していくその積み重ねが効率的かつ効果的な行政を確立するものと考えております。
もちろん、区民本位の施策、何が区民にとって必要な事業であるかについては、区長と我々区議会の責任で選択していかなければならないことは当然であります。そして、自治に値する区政を展開し、また持続可能な区政運営を確保していくためには、区の財政基盤を一層強化する方向での税財源の充実が必要であります。4兆円の国庫補助負担金の削減については、三位一体改革とリンクした来年度の国家予算の中で1兆円の補助金削減が決定し、地方分権改革のかなめである財政改革がいよいよ本格化してまいりました。
いまだ「三位一体改革」の全体像がはっきりしないという状況もありますが、区財政に少なからず影響のある課題であると認識しておりますので、三位一体改革が区財政へ与える影響について、現時点における区の認識をお伺いいたします。
◎志村豊志郎区長 次に、三位一体改革が区財政に与える影響についてであります。
三位一体改革は、地方自治の今後のあり方に大きな影響を与えるものであり、本区にとりましても重要な問題と認識しております。
今回示されている三位一体改革が区財政に与える影響につきましては、国庫負担金14億円余が廃止される一方で、所得譲与税が11億円余交付される見込みであり、同時に行われる法改正により都負担金6億円余の縮小も想定されています。
一方、これらの補てん財源として、都区財政調整交付金による対応も見込まれますので、私といたしましてはこうした全体像を十分に整理し、今後補正予算の中で的確な対応を示してまいる所存であります。
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次に、区独自の財源調達の方向性と基金の考え方についてお伺いいたします。
総務省は、地方債を計画的に発行することで自治体の資金調達コストが軽減できるとして、来年度から地方自治体が長期計画を策定すれば地方債の発行規模や年限の設定を比較的自由に認める方向での見直しを行うという報道がなされておりました。これが実現した場合には、区においても既発の地方債の繰上げ償還や、買入れ償却も可能になると思いますが、地方債の長期計画策定についてのご所見をお答えください。
◎志村豊志郎区長 次に、区独自の財源調達についてであります。
まず地方債発行にかかわる長期計画の策定に関するお尋ねでありますが、総務省が自治体による長期地方債計画の策定を条件に、地方債の発行と返済に関する条件設定について、自治体裁量権の拡大を検討していることは私も承知しているところであります。
区としての対応につきましては、今後国から示される内容をよく検討した上で判断していくこととなりますが、区はこれまでも地方債を適切に活用してきたところであり、資金調達面での区の自主性を高める対応につきましては積極的に臨んでまいる所存であります。
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また、いわゆるミニ公募債の発行が既に幾つかの自治体で行われております。地方債の引受け先を一般の区民に広げ、区民がミニ公募債を購入することで、当該の施設などへの関心や愛着が深まれば、地域のコミュニティの形成やまちづくりの活性化につながるのではないかと思います。他自治体の発行事例および区の考えをお聞かせください。
更に、経済産業省においては、民間の証券会社や特定法人などにより、特定の目的のもと一般投資家・区民から公募した資金を行政が委託する民間の事業や極めて公共性の高い事業に投資をし、それを地方自治体が支援していく基金、ファンドシステムを研究していると聞きました。このことは地方自治体にとって民間活力を活用するための支援策であり、また一つの創業支援システムともいえるものであります。
すべてを民間が中心となった新たなシステムの確立に私は大きな期待を寄せているものであります。区が支援しながらも民間資金により事業を起こし民間が運営する社会事業であれば、今まで考えられていたミニ公募債やPFI事業とは異質のものとなり、練馬区の借財とならないファンドの仕組みづくりをぜひ進めていただきたいと思いますが、ご所見をお聞かせください。
◎志村豊志郎区長 次に、いわゆるミニ市場公募債についてであります。
ミニ市場公募債の発行が区民の地域や施設への関心や愛着を深めるきっかけになることはご指摘のとおりであり、23区においても施設整備の財源に充てるため既に数区が発行しております。こうした取り組みは多くの区民の皆様にご参加いただくことが望まれますので、私といたしましては先行区の発行状況等も考慮しながらできる限り多くの区民の皆様がミニ市場公募債の購入に参加できるよう、相当程度の起債額を要する施設整備に当たって発行したいと考えており、今後ふさわしい施設の選定を行った上で積極的に取り組む考えであります。
次に、民間の公共的事業を投資対象とするファンドシステムについてであります。
このようなファンドが実現することは、民間事業者が民間資金により公共的サービスを提供することが容易となる画期的なものと考えております。今後、国や東京都の動向を踏まえつつ、課題の整理をはじめ、区としての活用策などの検討を進めてまいります。
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また、平成16年度に条例の制定を予定されている「みどり基金」についても、実現に向けて15年度に委員会を設置し、検討を重ねてきたと聞いております。このようなファンドもまた大切であります。一日も早い実現を望むものでありますが、ファンドの創設となれば、市場のいわゆる入りの部分と、それを管理する部分、投資の部分に分かれ、総合的に管理するファンドマネジャーが必要でありますが、このたびの委員会にはこのような人材が参加されているのかどうか、マネジメントの部分の検討はどうだったのかお聞かせいただきたいと思います。みどりの基金のみどりのことは練馬区のイメージとして十分に理解でき、みどりに特質化することも大切であることはわかりますが、ファンドとしての一番必要とされているのはみどりを含めたまちづくり関連ではないかと思います。
イメージを先行することもさることながら、行政としての需要の考え方などを含めた専門家も交えた研究をされ、みどりとまちづくりを一本化されたような基金にする考えも一つの方法ですが、いかがでしょうか。あわせてお答えください。
◎黒田叔孝土木部長 私からは、みどりの基金についてお答えいたします。
基金検討委員会におきまして、ご指摘のような基金運用の専門家は参加しておりません。現在基金の早期充実を図ることを主眼として、寄附金の集め方および基金の育て方の検討を進めております。集めた基金の運用につきましては、将来の重要な課題であるため、今後検討を進めてまいります。
また、まちづくりと一体化したみどりの基金づくりについてのご提案ですが、現在まちづくり条例の設置について区民と検討を行っており、この経過を踏まえながら今後の課題として研究してまいりたいと考えております。
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次に、産業振興策について伺います。
我が会派は、長年にわたって産業振興担当部を条例上の独立した部に編成替えをし、産業振興への意気込みを示していただきたいとの強い要望をたびたび行ってまいりました。このたび区長の英断によって産業経済部として実現されることになりましたことは、区内産業の育成・振興のための決意として区民へ大きくアピールするものであり、高く評価をし、歓迎するものであります。
また、平成16年度の産業経済部の新たなる施策が数多く予定され、日ごろから産業振興策に積極論の我が会派としては、高く評価をしながら施策の考え方、今後の決意をお聞かせください。
◎志村豊志郎区長 次に産業振興策に係るご質問についてお答えいたします。
まず、産業振興施策の推進と専管組織の整備についてであります。
産業を取り巻く経済状況は長期にわたる景況の低迷、個人消費の伸びの鈍化など、依然として厳しい環境に置かれております。また、少子・高齢社会の到来、情報技術の進展などへの対応も求められております。こうした経営環境の変化への対応を図り、地域の特性に合った区民生活を支える地域産業の振興が必要となっております。区といたしましても、この変化に対応し、地域経済を活性化するために専管組織の強化を図ることとし、このたび産業振興担当部を産業経済部と改めたものであります。私といたしましては、これを契機に更なる産業振興施策の推進を図ってまいりたいと考えております。
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次に、産業振興に対する基本条例の制定についてお伺いします。
商工業の振興に対する基本的な考え方や施策の方向性を定め、振興を目指すことを目的に他の自治体におきましても条例を定め、厳しい産業界に対応する施策展開をする例が出てまいりましたが、時宜を得た施策であると考えますが、いかがでしょうか。
中でも商店街につきましては、シャッター通りと言われる現状の中でも地域の核として地域交流の場としてまちづくりには欠かせない存在でありながら、現状は商店街の加入率は低下するばかりであります。世田谷区では前段で述べた条例のもと、小売店の商店会加入と費用負担を努力義務ではありますが、事業者の責務と定めました。当然大型店やコンビニなども対象となりますが、新たな目的、新たな施策展開についてご所見をお聞かせください。
◎志村豊志郎区長 次に、産業振興に関する基本条例の制定についてであります。
世田谷区等が制定している産業振興基本条例は、産業振興に取り組む自治体の基本的な姿勢を明確に示すもので、行政や事業者の責務などを明文化したものと受けとめております。
ご指摘の商店会への加入等につきましては重要な視点であり、さまざま形態の店舗が相互に連携し販売促進活動等を行うことは、商店会の活性化につながるものと考えております。
商店街は地域の活力の源であり、地域の資産であります。商店街におけるにぎわいづくりや活性化等は地域経済に欠かせないものであります。今後、他区の先進事例等を踏まえ、産業振興基本条例の制定について検討してまいります。
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次に、アニメ産業の振興についてお伺いいたします。
アニメは映像だけではなく、さまざまな関連商品を含め約1兆円の産業と言われております。また、世界のアニメの中で日本の作品が約6割を占める状況にあるとも言われております。現在でも都内の2割強に当たる70社以上のアニメ関連企業が練馬区に存在し、アニメ産業の集積地であり、アニメのふるさととも言えるわけであります。
こうした点から、我が会派として東京国際アニメフェアの開催に至る前の平成13年3月に練馬区のアニメ産業に着目し、区長あてに「アニメシティねりま」に関する提言を行ってまいりました。この間、練馬区としても東京都が主催する東京国際アニメフェアに連動して、「練馬アニメフェスティバル」を開催し、アニメ産業のアピールと商店街活性化に取り組んできたことに敬意を表するものであります。
一方、杉並区をはじめとする近隣自治体においても独自の取り組みが行われております。東京都では昨年3月にアニメ産業振興方策について報告書がまとめられ、この中で優秀な人材の育成などと並んで仮称「東京アニメセンター」の整備が打ち出されております。
以上を踏まえて質問いたしますが、第1にアニメ産業に対する評価と今後の振興策についてであります。
アニメーションは創造性に富んだ都市型産業であり、練馬区にふさわしい産業であると考えられます。アニメフェスティバルのようなイベント開催にとどまらず、その振興策や活用方策を検討するべきであります。そのためにもアニメ事業者の組織化の促進と意見交換の場づくりが必要と考えます。ご所見を伺います。
◎伊藤政寛産業振興担当部長 私から、アニメ産業の振興策についてお答えいたします。
まず、アニメ産業についての評価と今後の振興策についてであります。
アニメ産業は、練馬区を特徴づける産業の一つと評価しており、今年度第3回目を迎えるアニメフェスティバルの中でキャンペーンキャラクターの募集や手づくりアニメ教室の開催など、人材育成に寄与する新たな事業にも取り組んでいるところであります。
また、昨年、東京商工会議所練馬支部が区内のアニメ産業実態調査を行うとともに、その報告会を実施いたしました。練馬区内にはアニメ事業者が70社に及んでおりますので、区といたしましてはこうした動きを踏まえ、アニメ産業の振興のために区内事業者の組織化、意見交換の場づくりなどに区内の産業団体とともに取り組んでまいります。
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第2にアニメーションの観光資源としての活用と集客力のある施設の整備についてであります。
アニメは今や子どもからお年寄りに至るまで広く受入れられる時代となり、練馬区の観光資源として潜在的価値が大変大きいのではないかと考えられます。練馬区への集客力を高めるためにアニメを大いに活用すべきであります。
そのためには中核的な施設の整備が必要であり、東京都が仮称「東京アニメセンター」の整備構想を持っているならばこれを誘致するなど、区としても積極的に取り組むべきであります。また、アニメ産業の振興の拠点であるとともに、集客力のある施設とするためにはキャラクターを保有していたり、展示やイベントのノウハウのあるアニメ関係事業者の参画が不可欠であります。
アニメセンター構想は5万5000平米もの大規模構想であります。中核的施設の整備に向けて学校の統廃合などを含めた区の既存施設の転用や民間活力の活用など、多角的な検討をするべきであると考えますが、ご所見を伺います。
◎伊藤政寛産業振興担当部長 次に、アニメーションの観光資源としての活用と集客力のある施設の整備についてであります。
アニメーションは観光資源として大きな可能性を持っており、その活用について検討する必要があります。
一方で、集客力を持つ中核的な施設の整備につきましては、著作権の問題や集客力を維持する企画内容など、さまざまな課題があると考えており、アニメ事業者の参画が大変重要であります。今後東京都の動向を注視しながら、アニメ事業者をはじめとする関係者との意見交換を行うなど施設の内容や整備の手法などについて検討してまいりたいと考えております。
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3点目は、今年度の国際アニメフェアについてであります。
3月25日から4日間、開催をされることになっております。民間レベルでの出展も練馬区が一番多くのブースを獲得し、展示を予定していると伺いました。前段で申し上げたとおり、練馬区の産業の大事なアピールのチャンスであり、積極的な支援をするべきと思いますが、ご所見をお聞かせください。
◎伊藤政寛産業振興担当部長 次に、今年度の東京国際アニメフェアについてであります。
これまで出展を見合わせていた区内のアニメ事業者が、東京商工会議所練馬支部の援助を受け、東京国際アニメフェアに出展することになりました。また、練馬アニメフェスティバル実行委員会としても出展いたします。区といたしましては、この出展に際し外国語版の練馬区ガイドを提供するなどの支援を行ってまいります。 以上でございます。
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次に、安全安心なまちづくりについて伺います。
平成14年の安全安心条例制定に向かっての陳情審査におきまして、我が会派は犯罪の抑止力の向上を望み、その必要性を強く訴え、区が参入するための議論を尽くしてまいりました。その当時は私たちの意見が少数意見であり、自民党の強い思いも通らず、残念ながら陳情の採択には至りませんでした。
しかしながら、志村区長の誕生後は大きく様変わりをし、来年度から危機管理室を設けるまでに至りました。私たちの区民大切、第一主義の心意気が成就されうれしく思うことはもとより、このことは新区長の手腕として高く評価されることでありましょう。その上、昨年来、区長が区民の不安感を解消するため、緊急な対応として防犯・防火活動の支援事業を多様な形で実施していることはこれもまた高く評価するものであります。今後もこれらの事業を充実・拡大されていくことを期待するところでありますが、その際の基本的な考え方についてお尋ねをいたします。
それは、米国において、ジュリアーニ前ニューヨーク市長が採用した「壊れた窓理論」、いわゆる「ジュリアン理論」とか「割れ窓理論」とか言われていることについてであります。「壊れた窓理論」とは、一枚の壊れた窓ガラスを放置しておくと、人間の心理としてその場所は管理されていないと認識し、次々とガラスは割られていくことになる。したがって、ささいな破綻も見逃すことなく、迅速に是正することによって治安は維持されるというものであります。
世界有数の危険な都市と言われたニューヨークがこの理論に基づく実践により、凶悪犯罪の発生も減少し、落書きも少なくなり、人々は快適に過ごせるようになったといいます。練馬区でも、この「壊れた窓理論」に基づいた迅速な対応を旨とし、細やかな事業展開を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。ご所見をお聞かせください。
また、その考え方に立ったとき、我が会派よりの強い要望により、来年度4台が配備される区内巡回パトロールカーについては、運用の仕方によっては大変有効な事業となり大きな可能性を持つものではないかと考えます。
町会や自治会の防犯・防火活動に貸与するばかりでなく、巡回をすることに大きな意義があるわけでありますから、他の目的にも貸与できる方法など、多様なニーズに応えられるような運用の手法を講じていただきたいと願うものでありますが、このパーロールカーについてはどのような運用の方法をお考えなのか、お聞かせください。
また、区内のパトロールへの支援のあり方について伺います。
昨年、年末の警備に際しましては、ガードマンの派遣、委託警備の方法でありましたが、ことしに入り、他の自治体ではNPOのガーディアンエンジェルスへの委託をしたり、新しい民間組織を育てたり、多様化していると思います。練馬区においてはこのような機運がまるでないのか、住民組織の確立の状況はどうなのか、お考えと状況をお答えください。
◎志村豊志郎区長 次に、安全・安心なまちづくりについてお答えいたします。
ニューヨークにおける「壊れた窓理論」の実践による効果については聞き及んでいるところであります。迅速かつ細やかな対応を第一とする、まことに当を得た理論であり、練馬区としても貴重なご意見として受けとめ、防犯・防火事業のみならず、区政全般において参考とさせていただきます。
さて、区内巡回パトロールカーの運用の方法についてであります。
私の安全・安心なまちづくりに関する基本的な考えは、区民自らが自らの町を守ることを可能にするため、区がその活動を支援していくというものであります。
したがいまして、パトロールカーの貸与に関しましても、できるだけ広い範囲での区民の自主的活動に供することができるよう考えてまいります。これに区職員の公用車としての使用や委託警備業務での使用を併せることにより、一層の有効活用が図れるものと存じます。
また、区内のパトロール活動への支援のあり方についてであります。来年度は、年間を通じて区内全域にわたる警備委託の拡充をする予定ですが、これまで多くの実績を残してきた地域の方々の活動を尊重し支援していく考えには変わりはございません。
今後は、震災対策の分野において築き上げられてきた避難拠点運営連絡会の成果も参考とし、地域のネットワークづくりを働きかけるとともに、新たな方向の一つとしてご指摘いただいたNPOとの連携など、さまざまな可能性を模索してまいります。
以上でございます。
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次に、区の福祉施策の再構築と新たな施策の展開についてお尋ねをいたします。
国におきましては、ご案内のとおり介護保険制度、施行5年後の制度改正に向けてことしから本格的な見直しの議論が始まっております。また、障害者の支援費制度におきましても、国の予算の不足が問題となったように、多様な福祉ニーズの大幅な増加に対応していくために、今後もさまざまな福祉制度の改革が予測されるところであります。また、当区においては、景気の低迷や高齢化の進展などに伴い、生活保護や高齢者医療、介護保険などの運用に要する経費が毎年増大しております。このように福祉を取り巻く状況は厳しさを増しており、従来の区の福祉サービスを漫然と提供していくだけでは新たな福祉ニーズへの対応は財政的にもますます困難となっていくものと思われます。
このような中にあって、区がいわゆるグリーンペーパーを公表した上で、区の福祉施策を再構築して、より緊急性や必要性の高い福祉サービスを提供しようとしていることを我が会派としては高く評価するところであります。
他の自治体では財政状況が厳しくなるにつれ、徐々にサービス内容を低下させて経費を削減していくという後ろ向きの見直しの例を聞くことがあります。しかしながら、区のこのたびの施策の再構築では、見直しにより確保した財源をもとに区民の切実なニーズに対応して区独自の福祉サービスを大幅に拡充したものとなっております。また、同時に既存の施策の見直しを行っておりますが、従来の制度を改正する必要性について区民の方々に十分に説明され、理解を得るよう努力をお願いしたいと存じます。
そこで、来年度の福祉施策の再構築に関連してお尋ねをいたします。
まず、見直しをした事業費の規模は6億円余となっており、それをもとに新規・充実事業を事業化したと聞いておりますが、限られた財源の中ではめりはりのある予算づけが不可欠であると考えます。
そこで、第1に高齢者、障害者などの施策分野別に見て、拡充する事業費規模はどうなっているのかお尋ねをいたします。
◎関口和雄助役 保健福祉部長事務取扱いを務めておりますので、私から区の福祉施策の再構築に関してお答えいたします。
第1は、今後の施策の再構築における新規・充実事業の施策分野別の事業費規模についてであります。
来年度予算におきましては、既存施策の見直しにより削減した事業費をもとに、子育て支援施策に3億5100万円、高齢者施策に1億4300万円、障害者施策に9400万円、およびその他に2400万円と、合計で約6億1200万円を事業化しております。特に区民のご要望の多い保育施設等の整備に対する補助など、子育て家庭に対する施策の充実を図ったところであります。
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第2に、今回の施策の見直しに当たっては、利用者負担のあり方についても事業効果や負担の公平性などの観点から一定の整理を行ったとのことでありますが、どのような方針で見直しをされたのかお聞きいたします。
◎関口和雄助役 第2は利用者負担制度の見直しに関する区の方針についてであります。
今日、区が提供する福祉サービスは、高齢化等の進展に対応してだれもが利用できる基本的なサービスとして充実していく必要があると考えております。そのため、受益と負担のバランスに配慮しながら、負担能力に応じた適切な負担を導入するとともに、従来無料であったサービスについても事業効果や負担の公平性の観点から改めて一定の見直しを行うことといたしました。
そこで、今回の見直しに当たっては介護保険制度における1割負担の考え方を基本として、各事業ごとに負担のあり方を検討し、区の福祉施策全体としても整合性のある負担制度となるよう整理を行いました。これにより新たな負担が生じる事業もありますが、福祉施策全体としては充実が図られ、また今後の拡充のための基礎となるものと考えております。
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第3は、我が会派が従来から要望してきた、いわゆるパワー・リハビリと言われるトレーニングマシンを用いた介護予防事業についてであります。当区においても介護保険のサービス利用者が急増しており、介護予防事業を推進していく必要性がますます高まっております。テレビなどでもこのトレーニングの効果が紹介されており、区民も待ち望んでいた事業であると考えます。区としては、この事業の効果をどのようにとらえているのか、また今後どのように展開していくお考えであるのかをお尋ねいたします。
◎関口和雄助役 第3は、介護予防事業についてであります。
トレーニングマシンを用いた高齢者筋力向上トレーニング事業の効果については、足や腕の筋力の向上や片足立ち時間の増加、また歩行も早くなるなど、要支援・要介護高齢者に有効な改善事例が報告されています。更に、高齢者が活動的になり心の健康度も高まると言われています。
そこで、練馬区では東京都老人総合研究所の開発した方式による「高齢者筋力向上トレーニング」を実施したいと考えております。来年度は、まずモデル的に事業を実施して効果を検証してまいります。その結果を踏まえ、民間介護保険事業者に働きかけるなど積極的な事業展開を図ってまいります。
以上でございます。
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次に、学校給食の民間委託化について伺います。
平成15年度に4校の民間委託化が行われました。多くの課題を抱えながらも委託化が実行されたことは、長期にわたる区政運営の展望に大きな第1歩であると言えるものであり、高く評価いたします。区長は就任以来、多くの区民との懇談を開催され、その中で行革の必要性を熱く語られ区民の共鳴を受けたと聞いておりますが、その一つの中に学校給食の民間委託化の話があったと聞いております。区長は練馬区の産業発展の基本的な考え方から、学校給食についても受け皿会社を区内で立ち上げてほしいとの思いを述べられ、このことも多くの区民の共鳴を受けたと聞いております。
私ども自民党としても、学校給食は食事を通じての教育の一環であることはもとより、地域の学校は地元の食材を使って地元の給食会社が作ることが子どもたちの教育環境の整備に最もふさわしいと主張してまいりました。したがいまして、今後の委託計画を区民の方々が期待をしていることも事実であると思います。
そこでお尋ねしたいことは、第1に年次計画の公表であると思います。
退職不補充という委託化の速度と、センター校の廃止による委託化などを明確に計画化され、促進に向かって区民への公表が必要であると思いますが、いかがお考えでしょうか。
◎薗部俊介教育長 私から、学校給食の民間委託化についてお答えいたします。
はじめに、委託化計画の策定と年次計画の公表についてであります。
給食調理業務の民間委託につきましては、小中 103校中、本年度初めて旭町小、大泉学園中、そして旭町小と親子方式の豊渓中の3校について委託化し、4月から改築後の光和小でも開始いたします。今後、自校調理方式への切り替えを行う6校および2つの給食調理場の委託を計画的に進めていきますが、ご指摘のとおり既に自体校として給食を提供している学校を含め、それ以降の全校委託化が新行政改革プランの方針であり課題であると考えております。
教育委員会といたしましては、全校委託には全庁的な給食調理職の不採用、すなわち退職不補充が大前提であることから、今後関係部との調整を経て全校委託化計画の策定に向け、鋭意取り組んでまいります。
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2点目としては民間活力の活用と区内業者の育成の関係であります。
前段で申し上げたとおり、区長の思いは区内業者への委託をすることが前提であると理解しておりますが、そのためには幾つかの高いハードルがあると思います。大切な子どもの食事の提供という極めて重要な条件ではありますが、新たな事業者が参入するに際しての条件の緩和が必要となることは明らかであり、どのようにするおつもりか、ご所見をお聞かせください。
◎薗部俊介教育長 次に、区内業者の育成についてであります。
区立学校は地域との深い関係を持っていることから、教育委員会といたしましては給食においても区内農産物の使用や、米の区内米穀商組合からの購入奨励などを行ってきており、給食調理業務の委託におきましても将来的には区内業者の方々が担う方向が基本的に望ましいと考えております。
一方、学校給食は子どもたちへ安全でおいしい食事を時間どおりに大量に提供することが求められることから、委託においても一定の実績が必要と考えております。今回初めての委託であり、実績のある区内業者がなかった結果、区外業者への委託となりましたが、この業者も単年度契約であり、実績評価による見直しは当然必要と考えております。
いずれにいたしましても、民間委託化は緒についたばかりであります。委託化の推進や区内業者への委託に当たっては中長期の視点からの取り組みが必要と考えております。したがいまして、安全でおいしい給食を提供するため、区としての産業振興を図る基本的方向を踏まえつつ、今後関係部局とも調整してまいりたいと思っております。幸い少数ですが、他区におきまして区内業者が積極的に受注しているところがあり、その経緯や実績を十分に検討してまいりたいと考えております。
以上であります。
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最後に、1月12日に挙行された「成人の日の集い」について申し上げます。
練馬区主催の「成人の日の集い」は、4100余名の新成人を迎えて、国歌「君が代」の斉唱によって晴れやかな中にも厳粛な雰囲気に包まれて始まりました。
思い起こせば、平成11年8月に国旗・国歌法が制定されて以来4年を超える歳月が経過しておりますが、志村区長の英断によって、区長就任後初めての「成人の日の集い」において国歌斉唱を実施されたことを我が会派は高く評価するものであります。
当日は会場の新成人が全員起立をされ、また来賓席におきましても一部の人を除く大方の人が起立をし、寸分の乱れもなく声を合わせて国歌を斉唱いたしました。この場面に居合わせた私は、次代を担う練馬区の新成人を頼もしく感じるとともに、社会を支える我々が平和を愛する心、国を愛する心を共有していかなければならないという意を改めて強くした次第であります。
練馬区の新成人の皆様に再度祝意を送るとともに、この新成人をはじめとした68万区民の幸せのために、志村区長が更なる改革への道をばく進されることを念じて私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
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